13回目の好き
生徒の気持ち
三浦一樹先生 Side
はぁっと深いため息をつく。
さっきまでここにいた生徒の足音が遠ざかって行く。
「好きだの何だの…。」
ボソッとひとり、呟き自分の髪をクシャッとする。
嫌気がさす。
疲れるんだ。
何故こんなにも心を掻き乱されなければならない?
その答えが分からない。
コンコンとドアを叩く音とガチャッと開けられるドア。
それだけで、入って来るはずのない"吉崎"の面影を…
ドアの向こうに見てしまう。
高木先生:「失礼、三浦先生、この間のプリント返しますね。」
そんな3年前の記憶が、入ってきた高木先生の姿で現実へ戻される。
「…、ええ。」
そう返事をして高木先生からプリントの束を受け取る。
高木先生:「そういやさっき、ここに杉野来てました?」
「…。」
杉野…。…さっきの生徒か。
「来てましたよ。」
高木先生:「相談とか受けてたんですか?」
どうしてそんなこと聞くのか、俺には良く分からない。
「相談…とか、ないですよ。…質問…というより個人情報を聞かれましてね。」