13回目の好き
「苦っ!」
コーヒーの独特な苦味が舌に広がり思わず一言いってコーヒーを口から離す。
三浦先生:「それだけ、砂糖とクリープを入れておいて…。」
ボソッと呟く三浦先生をキッと睨んで、もう一度コーヒーを口に運ぶ。
コーヒーの味は分からないけど…三浦先生が好きな飲み物だから…頑張って飲む!
「…そうだ!三浦先生、海に連れてって下さい!」
ポカンと間の抜けた三浦先生が口を開く。
三浦先生:「…また…。おかしなことを言う。」
「…だって、夏ですよ?夏休み…先生と会えないのやだ!」
さっきまで水色だった空はいつの間にかオレンジ色に染まっていた。
三浦先生:「夏休み、勉強しにくればいいでしょう。海に行く必要はない。」
「…。先生達って夏休みないんですか?」
三浦先生:「教師は君らの夏休みも仕事です。…それに、海は危ない。」
夏休み、ないんだ…。…先生って大変。
…ふと、三浦先生の最後の言葉で高木先生が言っていたことを思い出す。
「三浦先生って夏が嫌いなんですか?」
そう問うと、三浦先生は窓の外へ視線を移して一言。
三浦先生:「…嫌いだ。」