13回目の好き



「でも先生、この前のテストは何か、難しくありませんでした?」


三浦先生:「そうでもない。平均は62点くらいです。」


「…うぅ〜…。…じゃあ…海は?」

三浦先生:「…海に行って…何があるんです?」


キーボードを打つ三浦先生の手が止まり、私を見る。


少し悲しそうな瞳を見せる三浦先生。


「………海です…。」


何も言えず、私は俯いてそう答える。


三浦先生:「…君にはきっと…キラキラ輝く海にでも見えますか?」


チラッと三浦先生を見ると三浦先生は目を逸らして、視線を窓の外へ映した。



三浦先生:「…俺には、…もう忘れたい過去にしか見えない。」


ショボンと俯く私を見て三浦先生は、フウッとため息をつく。


三浦先生:「すまない。…そんなに行きたいなら、他の誰かと行きなさい。」


「三浦先生じゃないと嫌です!…でも…そうですよね。…無理言ってすいません。」



苦いけど少し飲めるようになったコーヒーを全部飲んで、席を立つ。


「今日は…、この前来た時の宿題を渡しに来ただけです。…勉強は、次やります!」



そう言って、宿題を三浦先生に渡すとパタンと準備室を出て廊下を歩いた。


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