13回目の好き




いっそのこと、三浦先生のいない世界に行って、諦めたいって気持ちが強くなっちゃう。



私の頭には、一枚の真っ白な紙があって…


そこにマジックで描かれた三浦先生を、

何度も何度も消しゴムで消そうとするんだけど




消えなくて…。


まるで削られた消しゴムが私みたい…


涙のようにポロポロと零れる消しカス…



「私には、三浦先生を諦めることが出来ない。」



本石君:「諦められない内は、諦めなくていいんだ。」


「うん…。だから私、諦めない。切なくて辛い時もあるけど、上手くいかなくてもいいの。」


本石君:「どういうこと?」


サラっと髪を靡かせる夏の風。


「…少しでも、会えるならそれだけでいい。ほら、卒業しちゃったらもう、毎日会えないでしょ?」



今は…学校っていうのがあって毎日会えるけど…。勉強も教えてもらえる。



「それだけでいいって思ったの。それだけで、十分だって思ったの。」



そりゃあ出来るなら、三浦先生の嫌な思い出とか、変えたいって思っちゃうけど…。

だって三浦先生には、笑っててほしいから…。



好きなの…。凄く…。







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