13回目の好き
報告
三浦一樹先生 Side
夏期休暇ももうすぐで終わる。
化学準備室のデスクで、一息つきながら
チラッとドアの方を見る。
今日は来ないのか?
昨日来たからな…。
今日は来ないか…。
何だ…。
フウッと息をついて、窓の外へ視線を移した時
コンコン、ガチャ―…
その音にハッとして振り返ると、ニコニコと微笑む高木先生がやってきた。
高木先生:「三浦先生!仕事終わりました?」
「…ええ…。」
杉野の電話を切って以来、久しぶりに会う。
俺は少し、困っていた。
高木先生:「少し、時間が空いたんで、化学でも勉強しようかと。」
にっと微笑む高木先生に、少しホッとしたような気持ちになった。
杉野のこと聞かないのか?
「…この間、出身大学で発表された論文があるんですけど、読みますか?」
そう言って、論文のプリントの束を高木先生に渡す。
高木先生:「お!さすが三浦先生。今年のはチェック済みですか!」
にっと笑って、高木先生は近くにおいてあったパイプ椅子に腰掛けて論文を読みはじめた。