13回目の好き
ヤキモチ
三浦 一樹先生 Side
気付けば、窓から吹く風は冷たく、………緑色した木々は、紅葉し、時が過ぎたんだと思い知らされる。
ガラッ
杉野:「三浦先生!化学教えて下さーい!」
そういつものようにひょっこり笑顔を見せる杉野が準備室のドアを開けてそう言う。
新山達の噂も、もうすっかりなくなっている。
「ああ。」
そう答えると、杉野はいつものパイプ椅子に座布団を取り付けると、そこにニコニコと座る。
杉野:「へへ!私専用の椅子!もう寒いから。」
そう言って化学のノートを開ける杉野を見て…
もう、ずいぶん前からその椅子は、君専用じゃないか。
なんて、そう思いながらクスッと笑ってしまう俺を、嬉しそうに見る杉野に少し照れてしまう。
パタンと、窓を閉めて、授業を始める前に聞く。
「あれから、新山達はどうですか?」
そう聞くと、ニコッと微笑む杉野が話し出す。
杉野:「ふふ。それが、高木先生マジックにかかったみたいなんです。」
「高木先生マジック?」
おかしなネームを付ける杉野に首を傾げた。