13回目の好き
少し疑問を抱きながら、杉野に化学を教える。
もう、追いついてしまったのか。
そもそも、杉野が準備室に来るようになったのは化学を教えるためだった。
今の所まで追いつくことが目標に…。
準備室に来る宛てがなくなれば杉野はもう来ないだろうか?
ノートに必死に問題を書き込む杉野。
サラサラと揺れる髪。
触れたくなる。
どんな顔をするだろうか。
そんなことを思うと、
今にでも抱きしめたくなってしまう。
いつからだろうか
本当に分からない間に…
俺は杉野が…
愛しくてたまらない。
ジッと見詰めて無意識にそんな事を思ってしまった。
杉野は、書き込みながらチラッと、俺を見ると目が合い、慌てて視線をノートに移す。
思わずドキッとしてしまった。
この気持ちに気付かれるのが少し怖くて。
下を向いた杉野のふっくらした頬がポッと赤く染まっていたことに気付くと、
俺の頬まで赤く染まってしまう。
そんな自分を隠すように、視線を窓の方へと動かし、右手で顔を押さえる。