13回目の好き
「ああ、すいません。では入らせてもらいます。」
そう言って、風呂場へ行く。
全く、こんな日に俺を呼んだりして…
俺は2人の邪魔にならないのか?
せっかくのクリスマスなのに…。
クリスマス…
なんて
その言葉だけで喜びそうだな
杉野は。
シャワーを浴びながら、ふとそんなことを思う。
今日は学校へは来なかったな。
クリスマスは、やっぱり約束があるみたいだな。
俺には、クリスマスも普通の日常に過ぎないんだが…。
別に用意していたわけでもない。
たまたま通り掛かった店に、杉野が好きそうなものがあったんだ…
いつもコーヒーを飲みに来るから。
昨日、杉野から貰ったクリスマスプレゼントを思い出す。
そのお礼に…だ。
今日来たら、渡そうかと思っていたんだが…。
そんなことをグルグル思いながら、湯舟に浸かって一息つく。
また、久々に吉崎と会ったが、…不思議なことに…
吉崎を好きだった想いは、いつの間にか俺の思い出のひとつになっていた。