13回目の好き
窓から春の風がそっと教室に流れ込む。
お昼の後の化学の授業はかなり眠たく、隣のヤヨッチャンや前の席の西野君とか皆気持ち良く寝てる。
私は、春風を浴びながら、教卓で淡々と話す三浦先生を見つめていた。
ヤヨッチャンや、皆は三浦先生のこと凄くカッコイイけど無愛想だとか、無表情だって言うけど…
三浦先生って、化学を話してる時、凄く嬉しそうなんだ。
好きなんだなぁって凄く思う。
パラパラと化学の教科書をめくる。
…。
酸化して…
還元…?
酸化剤…
は?
えーっと…
頭を傾け必死に1年の時の記憶を辿る。
原子があって…
酸化数がどうのこうの…
………………やばい。
今日の放課後、ヤヨッチャンの言ってた通り三浦先生に化学、教えてもらおうかなって思ったけど…。
ここまで分からないとは!
情けなさすぎる!
三浦先生ばっかに見とれて、化学の勉強なんてさっぱり!
1年から勉強し直さなきゃ!
到底ついていけない!