13回目の好き







「す、すいません…。」




遅いと言われ、つい謝る私。




三浦先生:「ずっと…待ってました。…もう、来ないのかと思いました…。」



フウッと息をつき、三浦先生は座ったまま椅子を回して、私の方へと体を向ける。




三浦先生:「今日だけでなく、君が卒業するこの日を待ってたんです。…君に答えを言いたくて。」



「そ、その前に…!!…最後に…聞いてほしいことが…あるんです!」



涙が出る。


何でかな?


止まらないよ…。



涙を必死に拭っていると、三浦先生がいつの間にか、目の前に来ていて、


先生の袖が私の涙を掬う。



「…っ!…す、すいま、せん…。」


思わず驚いて、慌てて謝る。



「…聞いて、…くれますか?」




そう聞くと三浦先生は「ああ。」と優しく微笑んで返事をする。




その優しさに、胸が締め付けられる。



大きく息をすって、心を落ち着かせ、私は話し出す。





「私…卒業しちゃいました。…これで最後にします。…もう…迷惑かけませんから…。」




前に進むためには、最後にしなきゃダメなんだって気付いたから。






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