13回目の好き
今日は帰って1年生の時の化学の教科書開けて見よう。
手に取った化学の本を見る、
[化学が好きになる!]みたいな題名。
ちょっと読んでみよう。
本を借りて、廊下に出る。
オレンジ色の廊下は何だか寂しくて。
切なくて。
そのまま玄関へ向かって歩いていた時、
ドキンと心臓が動き出す。
高鳴る心臓を抑えるようにして、キュッとカッターシャツを掴んだ。
ゴクッと喉を鳴らせて、息を吸う。
「み、…三浦先生!…さよならっ!」
前からやって来た三浦先生に、精一杯の言葉を投げかける。
三浦先生:「ん、さよなら。」
いつもの声
一定の高さ
いつもの表情
スッとすれ違うオレンジ色の廊下で、私は思わず振り返る。
寂しそうな三浦先生の背中、キュウッと締め付けられる心。
何で伝わらないのかな
先生、教えて下さい。
どうすれば伝わりますか?
こんなにも好きなのに。
「あ、あの…三浦先生!」