13回目の好き
三浦先生Side
三浦一樹先生 Side
化学準備室の椅子にもたれながら、オレンジ色に染まる空を眺めていた。
"吉崎"が卒業してから、もう3年経ったのか…。
俺は、もうとっくにその存在を、思い出にしているはずなのに。
誰を見ても、"吉崎"の面影を探してしまうのは―…何故?
コンコン―…ガチャッ
不意にドアが開き、入って来たのは高木恭先生。
同じ理系担当教師で年は俺の2つ上。
黒髪で、体育会系の教師っぽいが数学を専門としている。
俺は化学。
高木先生:「すいません三浦先生、2年の化学のプリントって持ってます?」
「…、えーっと、あ、調度ここにあります。」
そう言ってノートパソコンの隣に置いておいたプリントの束を高木先生に渡す。
高木先生:「ありがとうございます!…それにしても、理系の教師が増えて良かったですよね!」
「…本当に。ここ3年で幾分楽になりました。」
3年前は、本当に大変だった。
この学校にほとんど理系の先生がいなかったため、仕事が多く少しの余裕もなかった。
「…"吉崎"は元気ですか?」