13回目の好き





吉崎 奈緒Side



『大っ嫌い』


その言葉が胸にささる。


今にも泣き出しそうになった。

けれど、我慢、しなくちゃ…


カチャッと数学準備室のドアを開けると、


恭先生:「どうした?遅かったな。」


変わらない笑顔で振り返った恭先生。そんな先生の存在に堪えてたものが一気に溢れ出す。


「…っ!」


恭先生:「な、!!?どうした!?」


突然の私の涙に慌てふためく恭先生。


…我慢してたのに


ソッと恭先生の身体に顔を埋めた。


何でこんなに弱いんだろう私。


こんなことさえ、堪えられないなんて。


「…ごめんなさい…。もう少し、このまま…。」


大丈夫。大丈夫…。


優しくポンポンと私の肩を叩く恭先生の温かな手が余計に涙を溢れさす。


そして恭先生はギュッと力強く私を抱きしめた。


恭先生:「奈緒…?」


低く落ち着いた声が耳元で囁かれ心がドキンと音を立てる。


流れる涙をグッと堪えて、ふう、息をついて、必死で笑顔を作った。




「どうすれば、…先生みたいに強くなれますか?」






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