13回目の好き








授業も終わり数学準備室へ足を運ぶ。


奈緒は、大学の実習レポートをまとめに、空き教室へと別れた。


奈緒の他にも実習生はいて、その空き教室が実習生のいわば、職員室のようなもので、荷物はそこに置いている。


今年の理系の実習生は奈緒だけだった。


他は、国語や英語、体育が結構いたな…。





準備室に入りカップにコーヒーを入れて準備室の椅子に腰掛ける。



机の引き出しを空けて、小さな箱をソッと取り出した。




奈緒が大学卒業しても、俺のそばに居てくれるなら、とあの空の下で決めていたものの…



付き合ってもう、4年目になる。



そっと箱を開けると、キラリと輝く小さなダイアモンドがシルバーのリングの中で光り出す。



「…気が早いな、…俺は…。」



パタンっと閉じた箱に、奈緒と過ごした1年が、もう一度、訪れて欲しいと願いを込めて…



自分でも少し恥ずかしくなり机に伏せた。




この3年ずっと変わらずそばに居てくれることが嬉しくてたまらないんだ…






少しは期待してもいいだろう?






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