13回目の好き
伝えていないことまで見透かされて…情けないな…。
今野:「今、三浦先生が好きだって真っ直ぐに伝えてくれる人に気付いてほしいんです…。それだけ言いたかったんです。まぁ…先生に対して偉そうに言うのもあれなんですが…(笑)今回の件で私のこと忘れたなんて言わないでね!」
そう言って最後に笑顔を向けるとクルリと背中を向けて準備室を出て行った。
「…。」
本当に恐ろしい奴…か。
しかし…言っていることは、全て核心を突かれている。
吉崎を忘れられないのは、伝えることができなかったから。
最後の最後で言えなかった。
断られることを知っているから…。
それなのに、真っ直ぐに好きだと言う杉野が分からなかった。
何故言える?
恐れを知らないのか?
無知な上なのか…?
一度断っても何度でも、俺の目の前に現れ真っ直ぐに伝えてくる。
不思議なんだ。
準備室の扉を嬉しそうに開ける杉野の顔が思い浮かぶ。
時計を見ると18時を回っていた…。
今日は来るだろうと思っていたんだが…
そう思いカタンと立ち上がり職員室へ向かう。