13回目の好き
三浦先生:「勉強を教わりにきた生徒に対して迷惑なんて思わない。」
「…私も…さっきここにいた女子生徒と同じです…。私の好きって気持ちは…迷惑なんですよね…?」
三浦先生:「…。」
「私が…化学を勉強しにここへ来るのは、三浦先生に会えるからです…。本当は化学なんて苦手だし嫌いだけど…三浦先生が教えてくれるから好きなんです…。」
こんなこと、本当は言いたくないのに…。何で私は、止まれないんだろう…
三浦先生:「…そうか…。…それでも、杉野は化学に対して興味を持ってくれたんだ…。」
そう言って背中を向ける三浦先生。
窓から差し込むオレンジ色の日が眩しくて目を細める。
三浦先生:「俺も、気付くのが遅かった。教師になって…何も見えていなかった。…杉野…お前も一人の人間で、さっきここにいた生徒も皆それぞれに違う考え方をもつ。」
何だか難しい言葉に、必死に考え込む。
いつもと違う三浦先生の言葉、いつもより柔らかい表情…自分のことを全然話さないはずの三浦先生なのに…
それは…"教師"じゃない三浦先生を知れた瞬間だった。
三浦先生:「…要するに…生徒は皆同じじゃない…ってことだ。」