13回目の好き
苦手な季節
三浦一樹先生 Side
教育実習も、もうすぐ終わりを迎える。
そんなことをふと思い、放課後の化学準備室でコーヒーを一口飲む。
高木先生:「…三浦先生、今日一杯どうですか?」
にっと笑って、奥の棚からこちらに顔を出す高木先生。
「いいですね。行きましょう。」
と答えて、また口にコーヒーを運ぶ。
口の中に広がるコーヒーの独特な香りと癖になる苦さを味わいながら、俺は何かに迷っていた。
心にモヤモヤと霧がかかったような…
何を考えようとしているのか、自分自身が分からなくなってきている。
『何で教師になったんですか?』
この間の杉野の言葉が蘇る。
それは………
高木先生:「よし!!整理完了!では、今日仕事終わり一緒に行きましょう!」
その声に、ハッとして慌てて高木先生を見て頷く。
高木先生は、またにっと笑って化学準備室を出て行った。