13回目の好き
高木先生:「そうだ、三浦先生って夏期休暇の3日ほど、予定空けられますか?」
ふと考え込んでいた時に聞かれ少し間があく。
「…。…夏…ですか………。」
少し考え込み、質問する。
「何か、あるんですか?」
高木先生:「いや、できれば来て頂きたいんですが、2泊3日で海へ卒業生と行くんです。奈緒と今野もいます。どうでしょう?」
「……。……夏は……苦手なんですよね。…海も…嫌な思い出しかなくて。…せっかくなんですが…。」
それはもう過去だ。しかし記憶とはどうしてこうも嫌な過去を留まらせるものなのか…。
高木先生:「…そうでしたか。それは悪いことを聞いてしまいまして。」
カウンター席に座りながらそう言って困ったように微笑む高木先生の横顔をちらりと見る。
「いえ、俺こそすいません。…過去なんてものはこの歳になると嫌になるほど増えていきますよね。」
高木先生:「…そうですね。…俺にも、苦手な季節はありますよ。忘れたい過去も山ほど。」
「そうなんですか?」
意外、と感じてしまうのは、いつも笑顔でいる高木先生の印象からくるものなのか…?