13回目の好き
RRRRRRRR…
ふと高木先生の携帯電話の着信音が鳴り響き慌てて高木先生は手に取り俺を見た。
「どうぞ。」
高木先生:「あ、すいません。」
ピッ
高木先生:「もしもし?…え!あ、本当だ。…もうそんな時間か…。ああ、悪いな。…うん、ありがとう。」
高木先生の話声を聞きながら、さっき高木先生に渡された梅酒を一口飲む。
女性が好きそうな味だ。
高木先生:「話の途中ですいません、明日も朝早いのに付き合わせて…。えっと終電ないみたいなんで今日は、奈緒が送ってくれるんで三浦先生も乗って下さい。」
ピッと電話を切ってそう言う高木先生に、さっきの電話の相手が吉崎であることが分かった。
「いえ、こちらこそすまない。ありがとうございます。」
吉崎はもうここに来ているらしく席を立ち会計を済ませる。
店のドアを空け、店員の「ありがとうございましたー」という賑やかな声を背に、前に映った高木先生が真剣な表情を浮かべながら歩きだした。
駐車場に敷き詰められた砂利を踏む音を聞きながら、高木先生は口を開いた。