13回目の好き


高木先生:「……無駄な時間なんて、…俺は、ないと思うんです。」



その言葉で、さっき自分が話していたことを思い出す。



「……そうですかね…?」



高木先生:「……ええ。無駄だったと思う時間は、自分の答えを見付けるための時間なんだと思うんです。…ゴロゴロ寝て終わってしまう時間も、何も考えずに過ごしてしまう時間も…、自分の心に余裕を作るための時間なのかもしれません。」



いつのまにか、足が止まっていて少し寒い夜の風を肌で感じ、空を見上げれば、星が輝いていた。



高木先生:「つまり…、過去は大切ってことで。無駄な過去なんてない。過ごしてきた自分だけの時間は、今の自分をつくるための糧なのかなぁ…なんて。最近思うんです。」


高木先生の言葉に、何も言えずただ…とても真っ直ぐに心の奥にまで届くその意味が深くて深くて…。



きっと…いくつもの苦労を超えてきたからこそ、言える言葉だなと心からそう感じた。



ガチャッ


吉崎:「おーいっ!恭先生と三浦先生、何してるんですか?車、こっちですよ!」


近くに停まっていた白い車から吉崎が出て来て、高木先生は笑いながら歩きだした。


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