さくらんぼの魔法
思い出
7年前の夏の日・・・
まだ小学3年生だったアタシは
親とはぐれて、道に迷って
ただただ、泣きわめくだけだった。
でも・・・
そんなアタシを、あなたが助けてくれたんだよ・・・
ねぇ、覚えてる?
公園のブランコで
泣き疲れていたアタシの目の前に、
突然タオルが差し出された。
びっくりして、ぐしゃぐしゃの顔で
その人を見ると、アタシの前で顔を覗き込んでいたのは
大きな目が特徴的な、小さな男の子だった。
「・・・ありが・・とう・・」
男の子からもらったタオルを見ると、
泥がついていて、とても顔を拭けるような状態ではなかった。
男の子の手にはサッカーボールがあった。
・・・サッカーしてたんだ。
泥んこのタオルくれても拭けないよ・・・
アタシは思わず吹きだした。
男の子は、不思議そうにアタシを見つめた後
一緒になって笑っていた。
「どうして泣いてたの?おうちは?」
男の子に、はぐれたことを話すと、
そっか・・・と言ってアタシの手を握った。
「え?どこ行くの??」
「・・・・」
何も答えない。
この子はどこに行くんだろう?
わけがわからないまま、
男の子について行った。