隣の席の恋人。
―昼―
「で、まともに会話しなかったの?」
「しなかったんじゃなくて、できなかったの!!」
こんなふうに毎日一緒にくだらない話をしているのは、
あたしの親友の松本香奈恵。
2年のときから同じクラスで、何でも話せる。
香奈恵は美人で、スタイルもよくて。
もう完璧ってくらいの女の子。
香奈恵の彼氏は同じクラスの、新城優。
優もかっこよくて、2人はまさに美男美女カップル。
優は松永健斗とも仲がよくて、よく一緒に遊ぶらしい。
「健斗ってさ、クールだっていわれてるけど、オレらといるときはクールなとこなんて、1個もないけどなー・・・。」
「優!!」
「おぉ、瑞希。」
「いつの間に?」
「ひどいなー。さっき瑞希があほ面してたときに来ましたけど?」
「あっあほ面って・・・最悪。」
「ごめんごめん。でも怒ってもかわいいよ?みーずーきちゃん」
「はぁ、意味わかんないから。」
「でた、瑞希の天然。」
「香奈恵まで何?」
香奈恵と優には「かわいい」とか言われるけど、そんなわけがない。
第一、あたしがかわいかったら、この世界にいるみんなかわいいでしょ。
「優。瑞希ね、席替えで健斗くんと隣の席になったの。」
「おー。そうだったな。あいつ最初は話しにくいけどすぐに話してくれるようになるから。」
「そうかなー・・・話しかけても冷たいんだ・・・」
「最初だけだって。なんなら、今日一緒に遊びに行くか?」
「いや、そんないいよ。あたし邪魔だろうし。」
「んなことねーよ。な、香奈恵?」
「あたりまえでしょ。瑞希なら大歓迎。」
「うー・・・ありがと(泣)」
「相変わらず瑞希は泣き虫ね。」
「そーだな。」
「ちがうもん!!」