イジワル王太子と政略結婚!?
君がすべて*sideシーナ
ふと、リリィの声が聞こえたような気がして立ち止まった。
「…リリィ!?どこだ?」
辺りを見回すと、白い何かが草むらの中に紛れているのが見えた。
あれはもしかして…!?
「──!!」
急いで近づくと、それは倒れているリリィだった。
「リリィ!おい、しっかりしろ!」
抱きかかえると、青白い顔でぐったりとしていて全く動かない。
まさかと思って顔を近づけると、かろうじて微かに息はしている。
「どうして…!?」
一体何があったんだ?
落ち着かなければと思うのに、気持ちは焦るばかりだ。