イジワル王太子と政略結婚!?
『シーナ…?』


俺は思わず、横たわる彼女を抱き締めていた。



「怖かった…お前がこのまま目を覚まさないんじゃないかって…。
無事でよかった」


こんなに余裕がなくなった自分は初めてだった。


リリィは俺の心を揺るがす、とてつもなく大きな存在なんだ。



『死ぬ時は…お互い道連れなんでしょ…?』


彼女はふふっと笑って、弱い力で俺の背中に手を回す。


『シーナとだったら…それもいいかな…』

「それはまだずっと先だぜ。
俺たちがヨボヨボのじいさんとばあさんになってからだ」


リリィは笑って頷いた。

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