イジワル王太子と政略結婚!?
「もうっ…冗談はやめて!」

『冗談じゃないさ。シーナより俺の方がずっと優しいと思うけどなぁ』


無理やり肩を抱き寄せられて、耳元で囁かれる。



「ちょっと…!」


シスルを押し退けて離れようとした時、不意に誰かが私の手首を掴んだ。


そのまま引っ張られて、私はその手の主の胸の中にぽすっと納まる。



「…シーナ!」


顔を上げると、怖い顔をしたシーナが私をしっかり抱き留めていた。



『…悪いけど、俺の婚約者に手出さないでくれる?』


低く冷たい声で、シスルに忠告する。


私はシーナの腕の中で、心臓がドキッと鳴るのを感じた。

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