紳士的なLady*Another
「……ごめん」
聞きたくない、この一言。
一番短くて、一番残酷で、一番私を傷つける「ごめん」。
もう、涙も出なかった。
「じゃあ、何でこの前はキスしたの?」
それだけは聞きたかった。
何でこの前は良くて、今日はダメなのか。
一瞬の気の迷いだったのだろうか。
私のことなんて、別に好きでもないのか。
「鈴音が……、」
「私が?」
ぽっかりと穴が空いたような虚しさと、多少の苛立ちも加わり、ついキツイ言い方になる。
それがダメだったのか、押し黙ってしまう壮紀。
「何?言ってよ」
壮紀のこういうトコ、本当に苛々する。
でも、それを含めて、彼が好きなのかもしれない。
壮紀の都合は無視し、「言って」としつこくねだる私。
ああ、こういうトコが私のダメな部分か。
妙に納得するのも悲しいけど。
6回目の「言って」をねだった後、長い長い溜め息を搾り出した。
「あれは!鈴音が可愛かったからしたんだよ!!」