悪魔

「ねぇ樺羅さん…教えてよ…」

「………。」

「お願い。。」

少女は、彼の背中に顔をうずくめた。
少女の背は、彼の肩にも及ばずにいた。
彼は、少女のそのお願いに困りはてると同時に、今の状態に対し、顔を火照らせていた。

「これは仕事上の大事な資料なんだよ。会社内で内密に進めているプロジェクトの、大事な資料なんだ。だから、夜奈には見せられない。悪い。」

彼は嘘を並べ、最もらしい理屈をならべた。

「え……あ、そーなんだ…
ハハッ…ごめん…抱きついたりして。。」

「あ…いや…構わない…」

少女は彼から離れた。
彼は、あどけない表情で少女の表情を伺った。
何故抱きついてきたんだ?
そう疑問を頭の中で抱いていたが、少女と目が合うと、全ての思考が停止してしまい、何も考えられなくなる。

「…仕事大変そーだね…」

少女は、そう言いながら作り笑顔をつくって見せた。

< 138 / 139 >

この作品をシェア

pagetop