悪魔
「え…私……?」
少女は目を丸くしながら尋ねた。
「…ククッ…当たり前だろっ…」
彼は、目を細めながらふんわりとした笑顔を見せた。
「永山夜奈…!」
「…夜奈か…。これからは、そう呼ぼう。……おやすみ。」
そう言って、ドアノブを回した。
「おやすみなさいっ!」
少女のその言葉を背に、彼は部屋を出た。
人間に情なんてない。
だからこそ、人間を食らってきた。
けれど、あの少女と話していると、人間ではなく、夜奈として見ることができていた。
カードを渡したのも、これから先、少女がこの屋敷に居座ることを考えての事だった。
―そう、彼の心は、変わりつつあるのだった。