のらねこ様、カレシ仕様
■□■□日向■□■□

それは満月の夜。


バイトがえりの私は、鼻歌を歌いながら呑気に自転車を漕いでいた。

近道、近道♪

公園を突っ切ろうとして、ふとベンチに丸々ものに目が止まった。



なんか野良猫みたい。



自転車から降りてマジマジと観察してそんな事を思う。

ふらりお散歩に出た途中で、月光を浴びて心地よさそうに転寝中の野良猫クン。

でも実際にはニンゲンのオトコノコで。


酔っ払い?

行き倒れ?

なんにしてもまだ肌寒い春先で、風邪ひいたりしないかなー?


じっと見詰めていると、長い睫毛が震えて緩く持ち上がった。



黒い・・・黒曜石みたいな双眸。

黒いサラサラの髪。

まるで黒猫クンだ。
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