のらねこ様、カレシ仕様
すりすりっとクロちゃんが頬を擦り寄せてくる。
ちょっと待って!ギブアープ!!
クロちゃん実際、格好イイし。
ドキドキし過ぎて心臓潰れるーっ。
途端、クロちゃんが弾かれたように身を起こした。
ガッ!
次いで、骨を打つ鈍い音。
見上げるとソファーの背凭れの向こうに、皿を両手にした薫が立っていた。
どうやら、薫が放った蹴りを、クロちゃんが腕で受け止めたらしい。
「こんのドラネコがぁ~・・・・」
薫が本気で怒ってるの久しぶりに見た。
でもクロちゃんも負けてナイ。
さっきまでの茫洋とした雰囲気は後片もなく、動けば容赦なく噛みつくようなひやりとした殺気を纏っていた。
無言の膠着状態。
「だ、・・・・だめーっ!!」
私の声に二人はぱっと距離を置いて、コチラに顔を向ける。
「二人とも男の子だし、ちょっとぐらいやんちゃでもイイケド、家では喧嘩しちゃダメ!それが出来なきゃ追い出すからねっ!」
ええ~と不満げな二人。
「つか、追い出すならコイツダケで十分だろが。何で俺まで・・・」
「喧嘩両成敗が私のモットー!」
くっと喉を鳴らすクロちゃんに薫がガチガチ歯を鳴らす。
・・・先が思いやられる。