のらねこ様、カレシ仕様
「・・・でも・・・だからって・・・・」


にこっとヒナタが笑顔を浮かべる。


「だから私待ってようと思うんだ。

いつでもオカエリって笑って迎えてあげようって!」



満面の笑みに気圧されたみたいに小型犬はソファーに腰を戻した。


俺はその笑顔にちくっと胸が痛んだ。


ヒナタは俺が怪我して帰って来てもオカエリって笑顔で迎えてくれる。



今だって。



番犬なら心配いらないよって頑なに信じてるみたいに、いつも通りを崩さない。




けど、


本当はさっきっから時々、何度となく、泣くんじゃないかって顔してンだ。


本当はすっげー心配してんだよ。

だけど、そんな顔を微塵も感じさせないで殊更元気に振る舞っている。



小型犬がいるから。



心配煽らないように、ヘーキって顔を装ってる。



オカエリって言ってくれるヒナタの笑顔に、俺はお気楽に和むだけで。

待ってるヒナタの気持ちを全く考えてなかった。

きっとヒナタはさ、遊び呆けて帰って来ない猫達だけじゃなくて、俺とか番犬とかも、今
みたいに心配して待っててくれンだろーな・・・。





・・・ったく、

ヒナタに心配掛けやがって、バカ番犬野郎。



番犬がどーなろーと知ったこっちゃねぇけど、ヒナタが悲しいのはヤなんだよ、俺は。





はぁ・・・しゃーねぇなぁ・・・。


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