のらねこ様、カレシ仕様

はっと我に返った時には、手に持っていたはずのカップが滑り落ちていた。



「ご、ごめんなさいっ!!私ボーとしてて・・・」



サイアクなことに隣のテーブルに座っていた男のヒトの上に落ち、残っていた氷が飛び散った。



切れ長な双眸のいかにも出来る男ッてカンジのダンディーなおじ様。


ひええ、お高そうなスーツに水滴が・・・っ!





「いや・・・平気だから気にしなくて構わないよ、お嬢さん。」


「でも、染みになっちゃう。スミマセン。」

慌ててハンカチを取り出して、水滴を拭う。




「ちょ・・・アンタ、なにやってんのよ。」




遅い私を気にして戻ってきてくれた万里ちゃんが、私を見付け素っ頓狂な声を上げた。



「私、水かけちゃって・・・」



そんなことを説明しつつ、ようやく状況に気付いた。




水滴に気を取られてばかりいたけど・・・・私がゴシゴシ拭いてたのは男のヒトの丁度太股の付け根あたりで・・・・。






きゃーぁぁぁあああ、



私、痴女デスカ!?
< 207 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop