のらねこ様、カレシ仕様
物想いに耽っていた私の前に不意に車が止まった。
黒塗りのいかにも高級車。
しかも左ハンドル~・・・
左側の前の窓が降りて、運転手が顔を見せた。
「あ・・・・貴方は・・・」
運転席から顔を覗かせたのは、この前カフェで私がコップの氷をぶちまけたダンディーオジサマ。
「このタイミングで会えるなんて私もつくづく運がいいな。少し話があるので付き合ってくれないか。」
「・・・え?で、でも・・・・」
いきなり見ず知らずの男性に車に乗れと言われても躊躇する。
こないだのスーツの染みは気になるトコロだけど・・・。
そんな私の心情を読んだようにオジサマが続けた。
「あの後、大事な待ち合わせがあったのだがね、あんなトコロに染みを付けてきた大の大人は大いに株を下げた。その損失についても話したいものだ。」
私は青ざめた。