のらねこ様、カレシ仕様

物想いに耽っていた私の前に不意に車が止まった。



黒塗りのいかにも高級車。


しかも左ハンドル~・・・



左側の前の窓が降りて、運転手が顔を見せた。




「あ・・・・貴方は・・・」





運転席から顔を覗かせたのは、この前カフェで私がコップの氷をぶちまけたダンディーオジサマ。






「このタイミングで会えるなんて私もつくづく運がいいな。少し話があるので付き合ってくれないか。」


「・・・え?で、でも・・・・」




いきなり見ず知らずの男性に車に乗れと言われても躊躇する。



こないだのスーツの染みは気になるトコロだけど・・・。



そんな私の心情を読んだようにオジサマが続けた。





「あの後、大事な待ち合わせがあったのだがね、あんなトコロに染みを付けてきた大の大人は大いに株を下げた。その損失についても話したいものだ。」




私は青ざめた。
< 273 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop