のらねこ様、カレシ仕様
入ってきた客が店内に声をかける。
「おーい。外でどっかのバカが喧嘩してっけどー?」
喧嘩御法度が暗黙のルールだけど、血の気盛んな若者揃いだからたまにこんなこともある。
「止めて来い、レージ。」
「えー?何で俺よ。めんどくせぇ。」
マスターと総長が揉めている間に、クロがふらっと立ちあがった。
「へ、ぇ?・・・アイツが行くなんてメズラシ。」
外へ向かう背中を眺めて総長が呟く。
俺はやれやれと溜息を吐いた。
バカか、アイツ。
ソレってアレだろ?
・・・単なる八つ当たり。
つか、ヒナにほっとかれたから、とかどんだけ分かり易いヤツだ。
「・・・てか、アイツは誰が止めにいくんだよ?」
誰かが呟いた尤もなセリフに、揃って深い溜息が落ちた。