のらねこ様、カレシ仕様


入ってきた客が店内に声をかける。

「おーい。外でどっかのバカが喧嘩してっけどー?」



喧嘩御法度が暗黙のルールだけど、血の気盛んな若者揃いだからたまにこんなこともある。


「止めて来い、レージ。」

「えー?何で俺よ。めんどくせぇ。」


マスターと総長が揉めている間に、クロがふらっと立ちあがった。



「へ、ぇ?・・・アイツが行くなんてメズラシ。」


外へ向かう背中を眺めて総長が呟く。



俺はやれやれと溜息を吐いた。



バカか、アイツ。

ソレってアレだろ?

・・・単なる八つ当たり。



つか、ヒナにほっとかれたから、とかどんだけ分かり易いヤツだ。






「・・・てか、アイツは誰が止めにいくんだよ?」


誰かが呟いた尤もなセリフに、揃って深い溜息が落ちた。
< 59 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop