のらねこ様、カレシ仕様

俺は呆れつつ電話を渡してやった。


『あー？もしもしクロちゃん？えへへ、今レポート終わったからねー。』

電話口から聞こえるヒナの声。


ってか、声デケーよ。

それにクロがうんうんと頷く。

て、
それテレビ電話じゃねーからしゃべんなきゃ伝わんねーよ・・・？


それでも相手はあのヒナなので、何やら一方的にくっちゃべっている様子。


クロがぴきっと固まったのはその矢先。



『あはは。暇だからって喧嘩なんかしてないよねー？今度会ったら怪我だらけだったりして？

そしたら怒っちゃうかもねー。』



・・・・。


ヒナの事だからカマ掛けたわけじゃねぇとは思うケド。

ヒットし過ぎ・・・。


『じゃ、いつ帰って来てもいいからねー♪』という声を最後に電話が切れた。

固まってるクロが哀れな気もしたが、そこまで面倒みきれん。


自業自得だ。

潔くヒナに怒られとけ。



「ホラ、電話返せ。」



すっ―――と俯き加減だった双眸が持ち上がった。




と。






ちゅ。




・・・・・！？





いきなりクロにキスされて、全身、総毛立つ。