のらねこ様、カレシ仕様
変な徒労感にどっと疲れてのろっと踵を返した俺に男達は慌てた。
「お、おいっ、帰んな!オマエの女がどーなってもいいのかよっ!?」
・・・知らん。人違いだし。
「ちょ、てめっ・・・待ちやがれ―――」
うっさい。
鉄パイプを振りかざして迫ってきた男の鳩尾に踵をめり込ませる。
このタイミングで得物を後ろに引くなんざバカバーカ。
前、ガラ空きになんだろ。
俺が戸口にいるから相手は囲う事も出来ず、
折よく順番で向かってくるのを掛っぱしから倒していき、数分後には全滅した。
外へ出ると、女が後を追っかけて来て小型犬のようにキャンキャン騒ぎだした。
「黒川さんってホントに強いんですねー♪すっごく格好ヨカッタァ~。」
・・・ウルサイ。
つか、オマエの所為でヒナタの餌食えなかったじゃねーかよっ。
これでもかってホド、もーしわけなさそうな顔で謝罪しろ!
チッと舌打ちするとさすがに俺の不機嫌に気付いたようで小型犬は口を噤んだ。
ふんっ。
小型犬を残し、俺は依然続く雨の中を歩きだした。