のらねこ様、カレシ仕様
「え?風邪?」
そうだ、と薫が力一杯頷く。
「コイツ玄関先で濡れ鼠で転がってやがって。熱あるみたいだし意識はねーし、さすがにほっとけねーだろが。」
それでとりあえず寝室に運ぶために、濡れた服を剥いでいたらしい。
・・・・ゴメン、オネェチャン勘違い。
熱を計ると40度近くあった。
「俺、今日急遽バイト代わってくれって泣きつかれて、今から行ってくっから。後はヒナ看病しとけ。」
うんと私は頷いた。
薫をバイトに送りだして、寝室へ舞い戻る。
肩で息を吐くクロちゃんが苦しそうで、ちょっと泣けてくる。
クロちゃん、いつ家に来たの?
いつから倒れてたの?
顔を見ると喧嘩したみたいな痣もあって。
クロちゃん、いない時はいつも一体どこで何してんだろ。
心配だよ。