のらねこ様、カレシ仕様
聞こうかと思ったけど、止めた。
本当はいうつもりじゃなくて、熱の所為でぺろっと言っちゃっただけかもしれないし。
聞くなら元気になってからでいい。
向けられた背中に胸がきゅうっと痛んだ。
熱が出ても、怪我をしても・・・
いつも独りで我慢してきたの?
クロちゃんは独りで平気って言うけど、そんなの悲し過ぎるよ。
「あのね、クロちゃんが知らないなら教えてあげるよ。病気の時はね、無条件で甘えてイイんだよ。そしたら直ぐに治っちゃうんだから。」
だから、苦しい時は私の元へ来てよ。
独りでイイなんて思わないで。
私に向けられた背中がとても愛おしくて。
一緒にいてあげるくらいしか私にはデキナイけど。
それなら、私がクロちゃんが安心して帰ってくる場所になってあげたいって、
本当に思ったんだ。
そっと頭に伸ばした手は振り払われることもなく・・・。
早く元気になーれ。
私はそんな気持ちを込めてクロちゃんの頭を撫で続けた。