のらねこ様、カレシ仕様

聞こうかと思ったけど、止めた。


本当はいうつもりじゃなくて、熱の所為でぺろっと言っちゃっただけかもしれないし。


聞くなら元気になってからでいい。



向けられた背中に胸がきゅうっと痛んだ。




熱が出ても、怪我をしても・・・




いつも独りで我慢してきたの?



クロちゃんは独りで平気って言うけど、そんなの悲し過ぎるよ。



「あのね、クロちゃんが知らないなら教えてあげるよ。病気の時はね、無条件で甘えてイイんだよ。そしたら直ぐに治っちゃうんだから。」




だから、苦しい時は私の元へ来てよ。


独りでイイなんて思わないで。



私に向けられた背中がとても愛おしくて。


一緒にいてあげるくらいしか私にはデキナイけど。


それなら、私がクロちゃんが安心して帰ってくる場所になってあげたいって、
本当に思ったんだ。








そっと頭に伸ばした手は振り払われることもなく・・・。


早く元気になーれ。



私はそんな気持ちを込めてクロちゃんの頭を撫で続けた。
< 78 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop