のらねこ様、カレシ仕様
ドギマギする私の心情を知ってか知らずか、どこからともなくネコちゃん達が集まってきた。
新顔に興味津々なくせに、素知らぬ顔ですり寄ったり乗りあがっちゃったり。
明らかに困惑気味の野良猫クンが可愛くて思わず噴き出す。
「よかったねー。野良猫クン、家のネコちゃん達に気に入られたみたいだよ。」
緊張もほぐれ、サクサクと手当を開始する。
大人しく手当をされていた野良クンがぽそっと口を開く。
「・・・名前」
「ん?コッチのがスズキ君で、あっちのがサトウさんで―――」
ネコを指さし教えると、野良クンは溜息を吐いた。
なに~?ネーミングセンスにいちゃもん付けるー?
「・・・じゃなくて。」
じゃなくて?
「あ、そっか。いつまでも野良猫クンじゃ失礼だよね。名前なんていうの?私は日向。」
野良猫クンは一度ゆっくり瞬きした。
「・・・ナオミ。」
なおみ?
「・・・・黒川那臣・・・」
私はパアッと顔を輝かせた。
「そか!すっごく似合ってるよ!」
心からそう言った私を黒曜石がじっと見詰める。
なんか、名前呼んで呼んでって催促されてるみたいな?
んじゃ、一つ言っちゃおうかなっ♪
「改めましてクロちゃんっ!会った時から絶対黒猫だって思ったんだー♪」
じっと私を見詰めていたノラネコ、もとい、クロちゃん、徐にがくーっと項垂れた。
え?ナニ?私、変な事言った?
キッチンの方からは「ぶーっ!!」と薫が豪快に噴き出す声が聞こえた。
だから、私、なんかヘンな事言ったー???