7つ上の翔太先生。2
「家庭科は、まあ。僕料理できないまま一人暮らししちゃったからなー。」


料理全くしないってこと……???


「今は少しずつ頑張ってるけどね。」


「そうなんですか……。」


先生の料理食べてみたいなー、とか


先生に自分の料理食べてほしいなー、とか…妄想が膨らむ。


「でも、料理できるっていいよね。」


「え、そ…そんなことないですよ。趣味ですから…。」


なんて、少しかっこつけたように言った。


本気で思った。私の料理を食べてほしい。と、



"おふくろの味"先生にもあるんだろうな。



「じゃあ、僕今日自転車なんで。」


「あっ、はい。」


「じゃあねっ、気をつけてね。」


「はい、さようなら。」







……渡せなかった。


先生へのチェルシー……、


ポケットから私は先生へのチェルシーを出して…


ぎゅっと握った……。 

  
そのまま私は…バス停へと向かった……。




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