7つ上の翔太先生。2
いつの間にかバスで寝ていた私。

バスを見渡すと、皆が居なかった。


あれ…??どうしてだろう。



あのときの記憶が一気に甦る。


「…先生、」


とつぶやいても先生は飛んでこない。

そりゃ、そうか。


地元と大阪では随分と距離がある。


早く地元に戻りたい。


「起きた??」


とおばさん先生が私に話しかけた。


この人は、学校の保健の先生ではない、


この3日間だけ付き添いで体調が悪くなった人を介護する人らしい。


とても優しそうだった。


「体調良くなったら、大阪城行こうか。」


外を見渡すと雨が少し降っていた、


「あっ、はい。」


と返事をすると、その先生は私の手を強く握ってくれた。


運転手さんに挨拶をし、


「さっきは大丈夫だった??」


「あ…はい。あまり記憶はないですけど。」


「名前聞いてもいいかな?」



「杉浦です。」


「杉浦さんね、」


と先生は私の名前をインプットするように唱えていた。


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