君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「ごめんなさい・・・・・私、あなたに悪いことをしたみたい」
敦子は、バツが悪いように謝る。

「何を謝っているの? 」
真紀子は首を傾げた。

「私、栞ちゃんにアドバイスをしちゃたの・・・・・・学校に行くことを口実に、ダンスを続けることを手段にしなさいって・・・・・・つい、熱くなっちゃて・・・・・・それは、あくまでも私の経験を話しただけだったんだけど・・・・・・・」

敦子は懸命に釈明するように言うと、真紀子が、吹き出すように笑った。

「何、そのことを気にしていたの」
真紀子が、あっけらかんとした表情で言う。

「そういうことだったのね。それであの子、急に進学をするって言い出したのね」
真紀子は納得したような口調だった。

「でも、私、ダンスをすることで勉強をするというなら、いいと思うようになったの」
「・・・・・・・」

「ふと、学生時代の山本君のことを思い出したの。山本君も、音楽をするために高校へ行くことを目的で受験勉強していたことがあったの。それは、ちっぽけな夢みたいなものなのかもしれないけど、それが、山本君にとっては受験勉強への活力になっていたわ。栞も、きっと、それと似ているような気がしたの」

真紀子は懐かしいそうに話した。






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