君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「別にそんなことをしなくても・・・・・・」
敦子は慌てて断るように言う。

「彼、別に悪い人じゃないの」
敦子は肩をすくめる。

「なんだか、その男性のことを嫌いではなさそうね・・・・・・・」
真紀子は首を傾げて、なにげなく壁に掛かった時計を見た。
「あっ! 」
思い出したように、真紀子が声を出す。
「事務所に戻らなきゃ」
依頼人との約束があった。

「ねえ、これ着てみて」
真紀子は、用意した自分のジーズンと黒のTシャツを敦子に渡す。
目立たないように地味な衣装を選んだ。
真紀子と敦子の体系はよく似ている。サイズで悩むことはなかった。

「くわしいことは、車の中で話しましょう」

敦子は手早く着替えを終えた。
二人は急ぐようにして、マンションを出た。



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