君だけに夢をもう一度 ~完結編~
夜。
正和はバンドのメンバーと『津波』にいた。
バンドの練習を終えて食事をしていた。

正和、竹中、小田、浜田と順にカウンターに座って、静香が出した肉ジャガと茄子の炒めものを酒の肴にして飲んでいた。

「えっ! 正ちゃんの家までやって来たのか」
竹中が、正和のグラスにビールを入れながら驚いたように言う。

「どうして、正ちゃんの家がわかったのかしらん? 」
小田が、肉ジャガの牛肉を口にしながら聞いた。

「ライブハウスのスタッフに聞いたらしい。今度、演奏を頼みたいから自分の連絡先を教えてほしいって言ったら、すんなり教えてもらったらしい」
そう言って、正和はグラスのビールに口をつけた。

ライブハウスは、今度ライブをする会場だった。小野寺は、そこのスタッフに音楽関係者と名乗って正和の住所を聞き出した。

「まったく、なんて奴なんだ! 音楽関係の仕事をしているって嘘までついて」
竹中は腹立つ口調で言って、グラスのビールをグッと飲んだ。

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