君だけに夢をもう一度 ~完結編~
バタンと、大きく扉が開く音がした。
いっせいに皆が、扉の方に目をやる。

よろけて小野寺が入ってきた。

「いらっしゃい」
カウンターの中から静香が声を掛ける。

「昼間は、どうも」
小野寺は正和の顔を見るなり、ろれつが回らない口調で言って、ふらつきながらも扉近くの椅子に腰掛けた。

小野寺は、どこかで深酒をしていたのか、顔を真っ赤にして酒の匂いを漂わしている。

「ひょっとすると・・・・・・」
竹中が小野寺の顔を見て、正和に確かめるように低い声で聞いた。

「ああ、彼が彼女に会いにきた男性だ」
正和が答えると、皆が小野寺の方に目をやる。
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