君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「彼女には会えたのか? 」
正和が小野寺の横に座って聞く。

「会えるわけないでしょう」
小野寺は不服そうな顔をする。

「そうか・・・・・・自分も彼女の携帯に連絡はしたんだが、『心配しないで』と返事がきただけで、その以外はわからないんだ」

「もういいですよ・・・・・・」
小野寺は、正和の言葉に対して投げやりな言い方をして、三人に目をやる。

「ところで、皆さんは何の集まりなんですか・・・・・・・ひょっとすると、バンドメンバーの集まりですか。いいですね、皆さん気楽に音楽をやって楽しんで」
酔っていることもあり小野寺は、小バカにしたように言う。

「気楽とはなんだよ! 俺達は真面目に演奏しているんだよ!! 」
竹中が反論するように声をあらたげた。

「止めなさいよ」
小田が竹中をなだめる。

小野寺は酔った勢いで気悪なことを言ってしまったと思いながら、しかめ面で一気に残りのビールを飲みほす。
すると、「僕だって気楽にやりたいよ! 」と、吐き捨てるように言って、そのままカウンターにうつ伏せになって酔いつぶれてしまった。

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