君だけに夢をもう一度 ~完結編~
正和が、小野寺に近寄ってきた。
その後を小田が声を掛けた。

「どこに連れてゆくの? 」
小田が気に掛けた。正和が車を呼んで時、正和が小野寺を連れて帰ることは察しがついていた。

「自分の家に連れて行くよ。このまま寝かせておくわけにはいかないだろう。それに、ここに誘ったのは、自分だからね。皆には悪いけど、先に帰るよ」

「でも、どうして彼にそこまでするの?」

小田は、正和が、元彼の小野寺のことを気に掛けているのが理解できなかった。
少なくとも小野寺は、敦子の元彼の正和のことを、どこか敵意みたいなものを感じているはずなのに、正和はそんなことを気にもせずに優しく接している。
どうしてという思いが、小田の心の中にはあった。

「それは、何というか・・・・・」
正和が答えようとすると、急に小野寺が顔を上げた。
そして、再び顔を伏せた。



< 112 / 137 >

この作品をシェア

pagetop