君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「おかえり」
台所で食器を洗っている母親が、正和に声を掛けた。

「ただいま、彼はどうした? 」
「起きてすぐに朝ごはん食べてもらって、今はシャワーを浴びているわ」
洗い終えた食器を乾燥器に入れながら、母親は答えた。

バタンと、台所横にある浴室の扉が開いた。
正和のジャージ姿を着た小野寺が、濡れた髪をタオルで拭き取りながら台所に入って来た。

「二日酔いは治ったかい? 」
小野寺の顔を見るなり、正和が気に掛ける。
小野寺は気まずい顔をした。

「何言っているの。どうせあなた達が、こちらさんに無理やり飲ませたんでしょう」
母親が、わかりきったように言う。

< 119 / 137 >

この作品をシェア

pagetop