君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「でも、どうして彼女は、彼に会おうとはしないんだろう? せっかくニューヨークから会いにきたのに・・・・・・・よっぽど彼のことが嫌いなのかな? 」

浜田が首を傾げて言う。すると、竹中も小田も、小野寺に同情するような雰囲気が包んだ。

突然、静かに扉が開いた。
全員が扉の方を向く。

淡いベージュのブラウスに、同系色のスカート姿の敦子が現れた。

「敦子さん! 」
小田が嬉しそうに声を出し、敦子に近寄る。

「いろいろ皆さんにご心配かけて御免なさい」
敦子は浮かない表情で誤る。

「よく来てくれたね」
正和は、優しそうな笑みを浮かべる。

「中田さんから聞いたわ。彼がいろいろ迷惑かけたみたいで・・・・・・・」
「気にすることはないさ。それよりも一緒に演奏するために来たんだろう? 」
正和が確かめるように聞いた。

「ええ、約束だったから、ライブは明日でしょう。練習しなきゃね」
敦子が遠慮がちに微笑して答えた。


< 125 / 137 >

この作品をシェア

pagetop