君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「彼から話を聞いたよ。君から別れを言い出したんだろう。でも、それは彼がニューヨークへ行かせるためで、わざとそうしたことを・・・・・・彼も一度は君のことをあきらめたらしい。でも、昔の恋人である自分と会うことを知って、いてもたってもいられない気持ちになったらしい。やはり、君のことが好きだと、彼は言っていた」

「・・・・・・」
敦子は、正和から顔をそむけた。

「僕は、君とは昔のような関係にはならないことを彼に言うと、ホッとしていたけどね。
彼は、君のことを、ひたむきに愛してる。そんな彼を、このまま冷たくあしらっていいのか? 」

「いいのよ・・・・・・これで・・・・・・」
敦子は、正和に背を向けたまま呟くように言った。

「彼は、今日の十六時の新幹線で、東京に帰るらしい。そしてあさって、ニューヨークへ立つそうだ」
正和は、敦子に近寄った。

「彼を見ていると、昔の自分を見ているようで仕方ないんだ」
正和の言葉に反応すように、敦子は顔を上げた。

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